月刊書字文化

~日本書字文化協会機関紙 No65~
平成31年 3月号

編集長 渡邉 啓子

一般社団法人日本書字文化協会

代表理事・会長 大平恵理

〒164-0001 中野区中野2-11-6-301  丸由ビル

電話03-6304-8212 FAX03-6304-8213

Eメール info@syobunkyo.org

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目  次(全8ページ、ウエブ版  ページ)

◇第7回伝統文化大会の中央審査会開く

◇臨書展案内

◇北山幼稚園で毛筆正課授業の保護者参観会開く

各コラムは休載しました

<ライセンス試験・申請申込〆切>

 2019年度前期のライセンス試験の申込は3月31日〆切、5月後半実施になります。
申請のみの申込は5月20日〆切です。

 

第7回伝統文化大会中央審査会開く

第7回全国書写書道伝統文化大会の中央審査会は平成31年1月25日、東京都中野区内で開かれました。審査会には加藤東陽、辻眞智子・書文協中央審査委員会正副委員長、柴田五郎、豊口和士、長野秀章、西村佐二各委員のほか、大平恵理会長ら3人が審査専門委員として加わりました。

応募点数は8%増に

冒頭、大会事務局から「応募点数はやや増の状態。毛筆、硬筆共により優秀な成績を上げるためにはもう少し応募者数が伸びてほしい」との報告がありました。応募点数は全国年賀はがきコンクール12,336点(第6回11,484点)、学生書き初め展覧会1,630点(第6回1,443点)でした。総応募数は13,966点(第6回12,927点)で8%増でした。

 

横書き応募の可否検討を始める

審査会後の懇談会では、横書きでの作品を受け付けられないか、との意見が出され、事務局として検討に着手することになりました。各種文書が横書きのケースが多い現代の状況を反映した声ですが、漢字の成立ちが縦書きであり、横書きに調和した行書などを生みだせるか、といった難問も予想され、時間をかけて検討を進める方針です。

手書きの意義・楽しさを広めよう

また、多くの委員から、文字を書くことの楽しさを分かってもらう学びが必要だ、との意見が出されました。書文協としても単に“賞取り合戦”でない書写書道の学びを理念としており、コンクールの成果が文字書きの楽しさにつながるよう工夫を進めます。

審査講評

中央審査委員会委員長 加藤 東陽

作品1枚ごとの良さを見つけながら楽しく練習を

「けいこ」と書いた年中児の小さなこどもたちにも素晴らしい作品があり驚きました。皆さん、とても頑張っているのがよくわかります。

年賀はがきは小さな紙面なのに、マスや罫線に頼らず書く難しさがあります。特に賀詞など「おめでとう」、「謹賀新年」、「平成三十一年元旦」が真直ぐ書けずに、まがってしまう作品が多かったようです。定型の言葉として目立つところです。一字一字の文字の幅に気をつけて書くことがとても大事です。

行間のとり方も極端に狭かったり、広くなったりする作品がありました。これは葉書を受け取った人が読みづらくなるので注意しましょう。ただし、行間は少し広めにすると文章をゆったり読むことができますし、また、少し狭くすると緊張感のある文面となり、それぞれ作品の良さとなることもあります。

落款印を押すことについては、年賀はがきは小さい紙面ですから、印の大きさなどを決めることがとても難しいものです。返って作品の出来栄えの足を引っ張ってしまうことがあるので、押す場合は慎重に行ってください。印が押してあることで特に優位に働くということはありません。

書き初めの高校・大学生の作品では、単に整っている範囲で終わるのでなく、さまざまな古典を参考に墨のにじみやかすれ、文字の大小、字間の広い狭いの変化などを作品に表現して欲しいと思います。

同じく高校・大学生の作品で、本文は大変よく書けているのですが、落款が作品に調和していないことで評価が低くなったケースがあり、残念に思いました。

また、毛筆では硬筆とは違い、筆遣いが評価の一つとなります。横線から縦線への折れ、縦線から横線への折れ、どちらにおいても2画に見えてしまう作品があったので注意してください。

両方のコンクールに言えることですが、最終的に上位の順番の違いは、大きな差があるのでなく、例えば「ここの斜めの方向が良くないんだよな」など、これまで学んできた評価の観点「長さ、方向、空き、曲り」などがどうかということでした。また、字形(外形)については「ここが広く空きすぎて文字が長くなってしまったなぁ」などの声が審査の際に聞かれました。

行書の名前の崩し方に難があり、上位まで作品がきたものの最後は1位にならなかった作品もあります。

何枚も書いて練習し仕上げるのですが、以上のような点に注意しながら、1枚1枚良さを見つけ、楽しんで書くことが大切です。

書文協臨書展に参加しましょう

名跡や名筆と呼ばれる手本を傍らに置いて、これをよく見て写す学びを臨書と言います。手本から、字形、筆勢、用筆の技法を学び取る大事な方法で、学校では高校書道で習います。書文協では、多くの人に早くから臨書に触れていただきたくて、毎年度の最後に臨書展を開いています。今回で4回目を迎え、さらに参加しやすくしました(下記に実施要項)。参加は年齢不問です。奮ってご応募ください。以下は、書文協臨書展の特色です。

①東京・多摩川上流の渓谷を舞台に漢詩の心をつかむ

高校教科書で臨書教材として取り上げられているものなら自由に選んで応募できますが、臨書の常設課題として漢詩「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」を選ぶこともできます。       この漢詩は中唐の詩人・張継が詠んだもので、中国・寒山寺に漢詩を書いた石碑、鐘つき堂があります。多摩川上流の鵜の瀬渓谷には地元有志によって無住の日本寒山寺(写真)が建てられ、石碑や鐘つき堂も置かれています。多摩川の川面を流れる鐘の音は、張継が聞いた「姑蘇城外寒山寺」からの「夜半の鐘声」を思わせるでしょう。

②「楓橋夜泊」から10文字、楷書書写の部があります

七言絶句の「楓橋夜泊」の全漢字28文字は、全て現代の日本でも使われている漢字ばかりです。中国の漢詩・漢文では、何文字かは日本でなじみのないものがふくまれるケースが多く、同詩は希なケースです。この内日本教育漢字に含まれている10漢字を、大平恵理・書文協会長が手本を揮毫しました。

小学生も臨書に触れるきっかけになればと期待しています。

ごあいさつ  臨書展実行委員長、渡邉啓子(書文協・副会長)

昨年は日中友好和平条約締結40周年で様々な催しがあり、色々な形で参加させていただきました。訪日された学生さんたちとの交流や東京銀座で開催された先生方の作品展で多くの作品を拝見しました。お話を拝聴する中でも古典の大切さが語られています。その様な中で、中国では幼少の頃から古典に取り組まれるように、日本の学生さんにも文字の歴史に触れてほしいと改めて思いました。知識や表現など世界を広げる助力になれればと思います。

第4回臨書展実施要項

2019・3・25日(月)〆切に延期されました

主催:一般社団法人日本書字文化協会

後援(予定):東京都青梅市日本中国友好協会、中国書法学院、国際芸術家連盟、NPO法人日中文化交流促進会、蘇州・寒山寺、中国国立南京芸術学院日本校、蘇州呉昌碩研究会

応募資格全部門とも年齢不問

募集部門(各部門の年齢制限はありません)

◆臨書の部(1)高校教科書掲載の臨書教材から4文字以上

臨書の部(2)常設課題 張継作 漢詩「楓橋夜泊」の起承転結の1句以上

月 落 烏 啼 霜 満 天

江 楓 漁 火 對 愁 眠

姑 蘇 城 外 寒 山 寺

夜 半 鐘 声 到 客 船

楷書書写の部 半紙ないし八ッ切  

1~3文字のうちどれかを選ぶ。

1字 次のうちどれか1文字

月 満 天 漁 火 城 外

▪2字  漁火

▪3字  寒山寺

審査員:加藤東陽(書文協中央審査委員会委員長)、加藤泰弘(東京学芸大教授)、豊口和士(文教大学教授、文科省教科調査官)

賞:大賞(臨書の部1・2から)、日本書字文化協会会長賞、青梅市日中友好協会会長賞、日中文化交流促進会賞(予定)、優秀賞

出品料:臨書の部は1点1,080円(幼児・小中学生は756円)、楷書書写の部 同756円(幼児・小中学生は540円)、個人出品は一律1点1,620円

手本指定課題の部は漢詩・楓橋夜泊の拓本をA3判に複写したものを、楷書書

写字の部の手本(大平恵理揮毫)はA4判で計9枚。手本はいずれも1枚当たりA4判100円、A3判200円。希望者は送料100円を加えた相当額分の切手を添えて、書文協本部臨書展係りに申し込んでください。

発表:月刊書字文化6月号に掲載。団体・個人には賞状・副賞の発送にて発表に

展示会:かえさせていただきます。優秀作品展は5月31日(金)~6月2日(日)10時~16時(最終日は15時半)、東京都青梅市沢井、澤乃井ガーデンギャラリーで。東京・中野ゼロホールでの展示も検討中。

園児の毛筆授業を保護者参観

府中市・北山幼稚園が親に日本文化アピール

園児に毛筆を教える授業を正課に取り入れている東京都府中市の学校法人立北山幼稚園(山縣迪子園長、東京都府中市西原町3-3-4)が、2月12,19日、保護者の毛筆授業参観会を実施しました。お母さん、お父さんらに、日本文化の粋である毛筆をわが子の姿を通して知ってもらうのが狙い。参観した保護者にアンケートし、感想・意見を集めることも検討しています。

北山幼稚園では書文協と協力し、平成27年度から、毎月2回、毛筆の正課授業を行っています。「園児にも伝統文化を」という山縣園長の要請を受けて、書文教は、全日本書写書道教育研究会理事長、長野秀章・東京学芸大学名誉教授(元文部科学省教科調査官)のアドバイスを得ながらプロジェクトをスタートさせました。      

授業は池田圭子・書文協教学参与が担当しています。最初の年は年長児約100人を対象に、次の年からは年中児が秋から取り組みを始め、翌年夏の発表会で作品を発表する流れが定着しました。園児らは15、16人ずつ6つのチームに分かれ、1チーム約20分の授業が行われます。この間、学校書道教育の先生方の教科研究団体である全書研の総会で、池田が同プロジェクトについて発表するなど、教育現場へのアピールもしてきました。

現在は5期目に当たる子供たちが受講しており、授業参観はその保護者を対象に行われました。平日のため都合のつかない保護者もいますが、それでも園児の約7割70人近いの保護者が熱心に毛筆の授業を見守りました。保護者の反応が注目されます。

<山縣迪子園長の話> 園児に日本文化の良さに触れてもらうためにこんな授業もしていることを知っていただこうと、授業参観の機会を設けました。授業をきっかけに、お子さんを書道練習会に通わせるようになったお母さんらがいる一方で、あまり関心をもたれない方もいらっしゃいます。日本文化のすそ野を少しでも広げられれば、と思っています。アンケートをして保護者の皆様のご意見、感想を聞いてみたいと思います。(月刊書字文化4月号に続く)