月刊書字文化

~日本書字文化協会機関紙 No70~
令和元年(2019年) 8月号

編集長 渡邉 啓子

一般社団法人日本書字文化協会

代表理事・会長 大平恵理

〒164-0001 中野区中野2-11-6-301  丸由ビル

電話03-6304-8212 FAX03-6304-8213

Eメール info@syobunkyo.org

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◇第8回全国書写書道総合大会
◇夏休み、各地で席書き大会◇十竹齋展開く
◇全国ライセンス試験実施
◇東・西・南・北「新硬筆ライセンス試験を受けて」
◇北山幼稚園毛筆授業
◇書文教生徒が席書を披露、南京・牛首山写真展に合わせ

第8回全国書写書道総合大会

 締め切りは9月16日(月)

第8回総合大会は、3つのコンクールのうち「ひらがな・かきかたコンクール」は7月26日に締め切られました。残る「全国学生展」(毛筆)と「全国硬筆コンクール」は夏休み明けの9月16日、大会事務局(書文協本部)必着で締め切られます。夏休みを活用して、皆さん、どんどん応募してください。

中央審査会は9月23日に開催予定で、特別賞(全体の約1.5%)受賞者の名前は10月初旬に発表予定です。

ひら・かきコンは2段階発表

小学校3年生以下に応募資格が限定されている「ひらがな・かきかたコンクール」は、応募者全員を対象とした本賞(特選、金・銀・銅賞)がまず8月15日前後に発表されます。各団体・個人の受賞者一覧、賞状、副賞が一緒に送付され、指導者から伝達していただきます。

特別賞(応募作品の約1.5%)は他の2コンクールと同日に、中央審査会(9月23日)で審査されます。発表はほぼ1か月後。10月末を予定しています。

ひら・かき本賞に素敵なメダルバッジ

ひらがな・かきかたコンクールは、締切から特別賞発表までの時間が長いこと、文字書きの意欲をほめる大会として、応募者全員に素敵な副賞を授与したいと、二段階発表にしています。副賞は今年も前回好評だった4種類のメダルバッジです。デザインは写真の通りです。衣服やカバンに付けることができますので、お友達にも自慢できます。

特選の中から優秀特選(準特別賞)を選び、中央委審査会での特別賞審査の対象とします。
特別賞を授与された場合、申し込まれた記念アルバムの文言は特別賞対応になりますので心配はありません。

第8回総合大会の実施要項、お手本、課題解説はホームページを参照してください。お手本はホームページからダウンロードして使えます。
申込みに必要な書類も、総合大会実施要項ページの最後に(23)書類のダウンロード項目があるのでご利用ください。

夏休み 人気の席書大会各地で

人気の書写書道イベント「席書大会」が夏休みの間、各地で開催されます。会場で決められた時間に作品を仕上げる席書は、実力が問われるイベントとして人気です。書文協では「席書決勝大会」を各地分散で開催、全ての作品を書文協本部に集めます。

団体ごとの一審を尊重しながら全作品に目を通し、優秀作品は中央審査会にかけて特別賞を決定します。書く技術だけでなく、大会に向けてコンディションの調整や本番に強いマインド養成が求められる席書の普及を図るため、書文協ではいろいろな施策を実行しています。

予選廃止で団体全員参加、個人席書もOK
予選をなくしたので団体・教室の全員が参加できます。参加者は、予選費を払うことなく、また仲間と一緒に参加できます。また、団体教室主催の大会だけでなく、申請し書文協が認定すれば、勉強部屋などでの個人席書もできます。個人の方は書文協までお問い合わせください。

席書開催期間・参加費・独自会場費等

2019年7月20日(土)から同9月8日(日)までの間、書文協認定会場で行います。

参加費は大幅に値下げされた前回同様に据え置かれ、1人当たり団体参加費は中学生まで884円、高校・大学生1,080円。個人は一律1,836円。  

中学生と高校・大学生は用紙の大きさが違うため、また個人は連絡、送付費用のため高額です。また、会場によっては参加証など独自の会場費を参加費と別に徴収しています。これは開催団体の自由事項としています。

厳密な席書ルール

①所要時間 席書開始の合図(先生の号令、太鼓など)で、書文協指定印の押された用紙2枚に作品を仕上げ、良い方を選んで提出します。この間が25分です。
②用紙 中学生以下は八ツ切、高校・大学生は半切です。いずれも書文協の指定印が押してある用紙(1人2枚配布)以外は無効です。
③手本は見ない 席書中はお手本を見てはいけません。
④1人で判断 周囲からの口出し禁止 2枚のうち良い方を選ぶ際も、親や先生に頼ってはいけません。小さい子でも1人で取り組んでください。 席書スペースに親や指導者が入り込むことはできません。

十竹齋便箋を使う体験会 盛況に

中国の古くからの伝統ブランド「十竹齋(じっちくさい」」の箋譜(せんぷ、便箋)に字を書く体験会(日中文化交流促進会など主催、外務省、中国駐日大使館、日本書道連盟、日本書字文化協会など後援)の開催記念祝賀会が7月13日、東京・銀座のセントラルミュージアムで開かれました。
十竹齋は約400年前に中国で結成された文化結社で、選び抜かれた用紙に、鮮やかな版画をあしらってあり、画譜(画仙紙)も有名です。この日は「東方文化乃華」と銘打った十竹齋」展の記念祝賀会に書文協も参加したもので、児童・生徒約15人も参加しました。

後援団体・書文協から書き手が参加

会場には十竹齋箋譜に硬筆で字を書くコーナーと、毛筆で席書するコーナーが設けられており、児童・生徒はそれぞれのコーナーで腕を振るいました(以下、写真)。席書は漢字同文の国、日中を強く印象付けるもの。特にセーラー服姿で参加した森村学園高等部の生徒たちは中国人も多かった会場の注目を浴びました。

指導者ライセンス試験を実施

新設・第1回新硬筆ライセンスも

指導者ライセンス試験は、書文協が「ここまでなら人に教える力があります」と保証するライセンス(資格)です。サークルや講習会の指導者として臨むために、とても自信のつく試験制度として好評です。
自分の技術を高めるだけでなく、指導者になる人を育てることは書文協の目標です。自分の技術を高める検定と、指導者としての素養を磨くライセンスの全国試験は書文協の学びの中心です。

検定・ライセンス制度を改善中

書文協では2020年2月の創設10周年を前に、諸制度の改善に取り組んでいます。検定では硬筆楷書と行書の検定2コースを一本化した「硬筆課題検定(新・硬筆検定)をスタートさせました。多くの方が旧型検定から乗り換えており、新硬筆ライセンスはこれに対応するために創設したものです。
 新硬筆ライセンス試験も他のライセンス試験と同時に行われ、多くの人がチャレンジしました。実技の力を見るために作品の提出を求めるのはこれまでどおりですが、書写書道や言葉についての基礎知識や、思い・感想を問う記述式も出題されるなど、受験者は大汗をかいたようです。教えることの意義や意欲が十分か、もよく見たいと思います。新ライセンスは初級・中級・上級に加えて最終的には「師範」の称号を付与します。
多くの人が硬筆師範の免許を携え、正しく美しい日本語の継承・発展のため書文協とともに歩まれることを期待しています。

次回は11月に実施

次回ライセンス試験は、9月受付、11月実施の予定。検定・ライセンス試験の自己申告制をとっています。常に自分の学びの進度に関心を持ち、定期的に団体のに知らされる記録に注意してください。検定・ライセンス試験の成績は、書文協データベースに永久保存され、所属団体も加えた適正な手続きにより本人に開示、また成績証明書を発行します。

東・西・南・北

第1回新硬筆ライセンス試験を受験して

一水(いちみず)教室 一般 南波亜季奈(福岡市在住)

三年前、一水先生の教室に子どもを通わせ始めたとき、先生から 「お母様も一緒にされませんか?」と声をかけられたことがきっかけで、子どもと一緒に教室に通い始めました。「字は人なり」と言うように、字をきれいに書くことは大切だと常々考えており、子どもには書き方教室に通ってほしいと思っていました。ただ、私自身も一緒に通うとは想像しておらず、最初は驚きもありました。
しかし、よくよく考えてみたら、学校を卒業してから、仕事では、もっぱらパソコンを使う機会が増え、落ち着いて字を書く時間は減る一方です。久しぶりに、字を学び直すいい機会かもしれないと、そんな気持ちから、通い始めました。子どもは二人。小1と小3です。

教室では、子ども達と一緒に、約1時間、課題を書いて、先生に添削していただき、書き直し、練習しています。練習している間、聞こえてくる子ども達と一水先生のやり取りは、微笑ましく、子ども達の字が上達していく様は、興味深いものです。そして、ただ学ぶだけでなく、学んだことを結果として残したい。将来、役立つときが来るかもしれない、と考え、ライセンス試験受験に至りました。
私も、幼少期に書道教室に通っていましたが、字を学んできて良かったと思う場面が何度もありました。

きれいな字を書くことは、子どもたちが成長していく上で、きっと糧になる、と思います。また字は、一朝一夕で上手になるものではなく、日々の練習の積み重ねがあらわれるものです。長期的に落ち着いて、字に取り組む姿勢が、その他の行動にも反映されるのだと考えています。
今後ライセンスを活かしていけたらと思います。

編集後記 

考え方がロジカルで、文章もしっかりしていているのに驚きましたが、聞いて納得。大学出てから3年間、結婚まで中学校で数学の先生をされていたそうです。今は一般企業の事務職。子育てのために激職の教師を休んでおられるのでしょうか。次回は「男女共同参画社会での女性の生き方」を、アラフォー(少し手前ですが)の目で語っていただけたら、と思っています。

北山幼稚園で年長児の毛筆作品展へ

「やれば園児もできる!」 書文協も確信

今年で5期生となった北山幼稚園年長園児の毛筆正課授業が7月16日終了しました。8月23,24,25日に展示会が同幼稚園で開かれます。

この毛筆の正課授業は5年前、府中市の学校法人立・北山幼稚園(山縣迪子園長)から、「幼児に伝統文化に触れさせたい」と要請されたのを受け、試行プロジェクトとして取り組んだもの。講師に池田圭子・教学参与を派遣し、月2回の毛筆正課授業を見守ってきました。近く、この間の総括を行う会議を開催しますが「環境を整えることが必要だが、幼稚園児でも毛筆正課授業は可能」との結論になる見通し。

先生方の教科研究団体「全日本書写書道教育研究会」(全書研)大会で発表したこともあり、総括文書がまとまり次第、文科省、全書研など各団体に送付し、足りない部分の指摘など批評をあおぐ方針です。学習指導要領では、小学校でも毛筆は3年生から、となっていますが、指導要領の先駆けを期待される民間の社会教育団体として取り組んできました。小学校低学年での水筆による運筆指導が新・指導要領で認められる今、この試みによるいくつかのエビデンス(証拠)を挙げて参考にしていただければ、と考えています。

試行総括文書を各方面に送付予定

授業対象は約100人。月2回、これを6チームに分け、1チーム20分ずつ授業を行います。年中の秋から授業を開始、最初は水筆で練習してから墨書きに取り組みます。 筆は書文協の中筆を使いますが、園児たちは初めてみる筆に大興奮。見学の専門家たちも驚く集中度で練習を続けました。初めは正しい姿勢の保ち方、正しい筆の持ち方から始めました。

ほぼすべての子供が「とり」など3つの課題のうちどれかを書きあげました。

池田圭子講師は「子供たちはとても集中して取り組んでくれました。人の話をよく聞き、立派に進めたと思います。出来上がった作品を見て感無量です。」と語っています。

目黒美術館で書文教生徒が席書を披露
中国・南京の牛首山仏頂宮の写真展を記念~

中国江蘇省の省都、南京市は長江流域・河南の中心地で西安・北京・洛陽に並ぶ中国4大古都と言われます1900年代前半の蒋介石の時代には、南京国民政府の首都でもありました。また古くは中国仏教文化が栄えた都として知られ、多くの遺跡が残ります。

お釈迦様の頭骨が見つかったとされる牛首山(うしくびやま)に広がる仏頂宮はその代表で、近年“仏教テーマパーク”と言われるほど大規模な施設が建設されました(写真)。

その四季折々の風景の写真展が目黒区目黒の目黒美術館区民ギャラリ―で8月1日から4日まで開催。これに合せた席書会が8月1日、区民ギャラリーで企画されました。日中文化交流の中心は、同じ漢字文化圏の隣国として分かり合える書道・書法の交流である、という考えからです。主催の日中文化交流促進会(劉洪友理事長)の呼びかけで、書文協附属書写書道専修学院から年中園児、小学1年から大学4年生まで約12人が、書き手として参加することを希望しました。

リーダー格の早稲田大学4年、中野めいさんらが選んだのは漢詩「江南の春」(杜牧)の披露。「千里鶯啼緑映紅 水村山郭酒旗風 南朝四百八十寺 多少楼台煙中
(せんり うぐいすないて みどり くれないにえいず すいそんさんかく しゅきのかぜ なんちょう しひゃくはっしんじ たしょうのろうだい えんむのうち))」
の起句と承句の14文字です。
「広大な地のあちこちで鶯が鳴き、木々の緑と花の紅がともに照り映えている。水辺の村や山間の村では、酒屋の旗が春風に揺れている・・・」。まさに江南地方の春を彷彿とさせる句です。